「ちょ、遥さん!?何や…「Tシャツ着てるから」」

「あぁ、そうですか…。言ってくださいよ、そういうことは。びっくりするじゃないですか」

「これだ」

右の二の腕に4年経ってもなお、
消えることなく、
はっきり残っている、傷。


「切り傷ですか?」

「ちょうど、親父もお袋もいなくて…さ。楓(カエデ(遥の弟))もいなくて…。とめられなかったんだよ。我を忘れた悠を。んで、ナイフでグサっと。ま、俺も悪かったんだよな。キレるってわかってて、言ったから。仕方ねぇんだよ、これは」

「仕方ない傷…か」

「だけど…な。ちゃんと、謝ってくれたから、それでいいんだよ。俺も、悪かったし。それからは、聞かなくなった」

「…………そうか」