「…………なんでもない。楓ッ!!
帰ろう?」

―――やっぱり、
聞くのやめよう。


きっと楓にとっては、
特別な意味なんてない、
気まぐれだよね。

「なんだよ、それ」

「帰ろ帰ろ〜。今日の楓の家のご
飯は何かな?」

「また、家に帰らねぇのかよ?」

「今日はご飯だけ食べて帰るよ」

「そっか」



―――期待しないのは、
結局は自分のためなんだよね。


自分が傷つきたくないから、
期待しないの。



期待しちゃったらその分、
傷は大きくて、
痛くなっちゃうから。


―――だから、期待しないの。