「聞いてる。走ってよ」

「やだ。遥が走れよ」

「やだ。別にたかが100くらい、走れよな」

「たかがって言うんなら、遥が走れよ」

「めんどくせーんだよ」

「俺もめんどくせー」


一進一退の話に、終止符を
打ったのは、
夏樹だった。


「おい」

俺じゃないと思ったあたしは、
その声に反応しなかった。


「おい!!」

シカトされてるらしく、
夏樹の声が、イラついてる感
たっぷりだった。


「遥!!」

その声とほぼ同時に、
腕を引っ張られた。


「あ? 夏樹?」

何だよ、急に。

びっくりするじゃねぇかよ。