「メリア! メリア!」

 血相を変えて、パトリックが調理場に飛び込んで来た。

 リリー・サリーは驚いた顔でそんなパトリックを見つめている。
 メリアは、彼女達が作ったケーキの切れ端を、調度口に詰め込んだところだった。

「ファ・・・ファフォフィッフふぁま・・・??」
 ケーキのせいで上手く話せないメリアは、きょとんとしてパトリックを見た。
 随分走ったのだろう、パトリックは息が上がり、額に汗が滲んでいる。

 慌ててケーキを飲み込み、メリアがパトリックに駆け寄った。
「ど、どうかしたんですか・・・?? もしかして、何かありました??」
 心配そうなメリアの大きな目をじっと見つめ、パトリックは急にガバッと彼女を抱き締めた。
「!!!」
 リリー・サリーは勿論、メリア自身も驚愕して口をぽかんと開けている。

「メリア・・・、すまない・・・! 君を傷つけるつもりは無かったんだ・・・。全て僕の不注意だ・・・」
 リリー・サリーは顔を見合わせ首を傾げている。
「パトリック様、急にどうなさったんですか? 大丈夫ですか??」
 メリアはよく分からないが、彼が何やらパニックを起こしていると勘違いして、精一杯背伸びして彼の背中をぽんぽんと擦ってやる。