「でも、顔も見ていない人ですよ??」
 訳が分からないという顔で、メリアは二人に疑問をぶつけた。

「たとえ顔を見ていなくても、恋に落ちるときは恋に落ちるのよ」
「メリアちゃんは、きっとその人の持つ雰囲気や優しさに打たれたんだわ」
 二人の言葉は、まるで自分達もそうしたことを経験してきたかのような口振りだ。

「わたしが、恋・・・??」
 とても信じられない、という顔で、メリアははためくシーツにぼんやりと視線を移した。
 二人はそんなメリアを微笑ましく感じていた。

「きっと、メリアちゃんが一瞬で恋に落ちてしまう程、その方は素敵な人物だったんのね」
 リリーとサリーは頷きながらメリアにそう言った。

「ええ・・・。とても素敵な人でした・・・」
 シーツを見つめてはいるが、メリアの頭にはきっと思い人の姿が浮かんでいるに違いない。
 そんなメリアを微笑みながら見守る双子は、何気無くこんな一言を漏らした。

「でも、メリアちゃんが言う、真っ直ぐで優しくて紳士な方と言えば・・・、なんだかうちのパトリック坊ちゃんみたいな人ね」

 二人の何気無い一言に、メリアは衝撃を受けてばっと視線を二人に戻した。
「な、なぜそう思うんですか!?」