「あの・・・、お二人に一つ聞いてもいいですか?」
 上目遣いでメリアが伺いを立てるように訊いてきたのを見て、双子は胸をキュンとさせた。赤毛のカールがかった髪で、小柄な背丈。モンブランのような大きくくりくりした目は、まるで子猫のようだ。

「その・・・。ある夜、偶然、ほんと偶然に出会った人なんですけど・・・。暗くて顔がよく見えなかったので、実際には顔もよく知らない人で・・・。でも、真っ直ぐでとてもいい人で・・・、それにとても紳士で優しくて・・・。兎に角、すごく素敵な人なんです」
 リリーとサリーは真剣にメリアのその話を真剣に頷きながら聞いている。

「それで、その人とはそれっきり会うことも無いんだけれど、わたし、どうもおかしくて・・・」
 思い悩んだ様子で、メリアはまた小さな溜息をついた。

「おかしいって、一体どんな風に?」
 双子が首を傾げながら訊ねる。

「なんだか・・・、その日の出来事がなかなか頭から離れなくて・・・。夜も寝つきが悪いし、その人のことを考えると溜息ばかり出てしまうし・・・。わたし、何か悪い病気なんでしょうか・・・??」
 真剣な眼差しで、メリアは二人の顔を今にも泣き出しそうな顔で見つめた。