「リリーさん、サリーさん!」
 
 メリアににこりと微笑みながら、二人はメリアに何かを差し出した。

「これ、わたし達で作ったの」
「特性クッキーよ」
 メリアはぱっと目を輝かせてそれを受け取る。
「貰っていいんですか!?」
 こくこくと二人は頷き、ふふっとメリアに笑みを向けた。

「メリアちゃん、ここで何してたの?」
「何か考えごとしていたみたいだけど」
 メリアはほんの少し顔を赤くして白状した。

 メリアが指差したのはハタハタと真っ白くはためく洗濯を終えたシーツ。

「洗い終えたシーツを干したんですが、あんまりいいお天気だったから、ちょっと木陰で休もうかと・・・」
 仕事中に休むなんてもっての他だが、生憎今日は朝からパトリックが何やら急用で屋敷を出ており、留守にしていた。要するに、付き添いさえも断られたメリアは、パトリックのいない屋敷で、特にすることがなかった訳だ。
 よって、何もしないのは気が引けるからと、無理矢理掃除婦の人達にシーツの洗濯の仕事を分けて貰い、今に至る。

「そうか、今日はパトリック坊ちゃんはお出かけだったものね」
 メリアはこくりと頷いた。

「で、一体何を悩んでいたの?」
 ズバリと突っ込まれてしまったメリアは、一瞬うっと固まったが、しばらく考えた後にようやく口を開いた。