「けど、気にすることないわよ、メリア。誰にだって失敗はあるし、たまたま運が悪かっただけよ。わたしがメリアだったとして、ランバート伯爵にそんなこと言われていたら、きっと同じようにしていたわ?」
 テレサの言葉に励まされ、メリアは鼻水を啜りながらテーブルを拭いた。

「ありがと、テレサ」
 メリアの頭をぽんぽんと撫で、テレサは小さく笑った。
「いいってことよ。だって、わたし達友達でしょ?」
 こくりと頷き、メリアは笑顔を作った。

「さて、そろそろ食後のティーの準備をしなきゃ」
 気分を入れ替え、メリアはティーセットをワゴンに載せて準備を進める。
「ね、メリア。このままじゃきっと良く無いわ。ランバート伯爵に丁重に謝罪するの。きっと目に涙をいっぱい浮かべて反省してるって顔して謝れば、変わり者のランバート伯爵もきっと許してくれる筈よ」
 そうテレサに諭されてはみたものの、どうにもメリアは再びあの男と顔を合わせるのに気が進まない。
「で、でも・・・、また厭味を言われるかも・・・」
「大丈夫よ。そうなったら、きっとモールディング様が助け船を出して下さる筈」
 
 テレサの後押しで、どういう訳か、もう一度メリアは彼に対面することになってしまった・・・。