”愛すべき僕の小猫さん

 毎日手紙を書くと約束したのに、遅くなってしまってすまなかったね。
 何か変わったことはないかい? 何かに不便を感じたり、困ったことは?
 君が変わらず元気で過ごしているだろうかと、僕はいつも考えているよ・・・。

 そうだ、君が送ったダニエルに送った贈り物のことだけれど、ひどく彼は舞い上がっていたよ。君がいない間も、彼はピエール・ド・ロンサールに首っ丈のようだ。彼が君にお礼を伝えてくれと言うから、代わりに伝えよう。メリア、どうもありがとう。

 それから、うちのお喋りな双子が、君の不在をひどく悲しんでいるよ。
 僕からは、メリアは休暇をとってしばらく帰省すると話しておいた。だけど、たまには彼女達に手紙でも書いてあげて。君の時間が許すのならばね。

 これはおまけだけれど、セドリックの小言が最近特にひどくなった・・・。
 原因は君がいないこと。 
 彼が言うには、メリアが帰省したのは、僕に愛想が尽きたせいに違い無いそうだ。
 屋敷の皆が、君がいないことをひどく淋しがっているよ。

 それに、僕もね・・・。

 予想以上に僕の仕事の方も立て込んでいて、まだしばらくはそちらに顔を出せそうに無い。手紙も、頻繁には書けないだろうから、今日は君にサプライズを用意してみたんだ。

 エドもきっと相変わらず忙しくしているだろうから、日中は君が淋しい思いをしているだろうと思って、僕の屋敷から君専属の侍女を派遣することにした。
 彼女なら、きっと君も気にいる筈だ。

 それから、ダンスのレッスンを見てあげられなくてすまないね。当日は踊れなくても大丈夫、僕に任せてくれれば、きっとなんとかしてみせるから。だから心配しなくていい。

 では、舞踏会当日の夜を楽しみにしているよ。
  
                      貴女のナイト”



 それは、紛れも無くパトリックからの手紙だった。
 書かれていた全てが、メリアにとってとても嬉しいことばかりだった。
 大好きなダニエルに、お姉さんのようなリリー・サリー。
 涙もろいが、情に厚いセドリック・・・。

 みんな、僅かに一緒に過ごしただけなのに、まるで温かい家族のようだ。
 メリアは胸が熱くなるのを感じた。