「エド、ジョセフさんにも黙っている気かい・・・?」

 流石に、長年彼に仕えているジョセフにまで隠すとは考えていなかったようで、パトリックは感心するというよりは、驚き呆れてしまっていた。

「なんのことだ? さっきも話したが、俺は忙しいんだ。用が済んだらさっさと帰ってくれ。明日は大切な遠縁の令嬢がやって来ることになっているしな」

 パトリックはいそいそとソファーを立った。
「そうだね、僕はそろそろ失礼することにするよ。忙しいときに悪かったね。では、また明日に・・・」
 



 
 
 そうした成り行きで、メリアはこうして今新聞を読むエドマンドの隣でカチコチになりながらティーを飲んでいるのだ。

「メリアお嬢様、ティーのお代わりはいかがですか?」
 二人の脇に控えている老執事が、ティーポットを片手にメリアに微笑みかけた。

「い、いえ、もう結構です。ありがとうござい・・・」
 そう言いかけたメリアに、ちらとエドマンドの視線が突き刺さる。