「どうしても・・・・・・、どうしてもお二人がデイ・ルイス侯爵と対立しなければならないのですか・・・・・・?? なんだか、わたし怖いです・・・・・・」

 デイ・ルイス侯爵を敵に回すということは、即ち女王イザベラを敵に回すも同じことだ。メリアの顔は真っ青になっている。

「だからこそ、僕らは彼の尻尾を掴む為の証拠を嗅ぎまわっているんだ。彼が言い逃れできない決定的な証拠をね」

 パトリックは血の気の失せてしまったメリアの冷たくなった手にそっと触れる。
 エドマンドが無言のままその様子を見つめて言った。


「君も人事では無い」

 そう言って手紙の入っていた封から、何やら上等な紙質のカードを取り出しテーブルの上にそっと置いた。


 宛名は・・・・・・、『ミス・メリア』


「わたし宛て・・・・・・??」
 驚き、メリアはそのカードを開き見た。


”先日はデイ・ルイス侯爵家の夜会は楽しんでいただけだでしょうか。
 
 残念ながら、貴女のご実家をお聞きすることができず、失礼ながらモールディング伯爵にこの招待状を送らせていただきました。

 今月末、我屋敷で仮面舞踏会を開くこととなりました。
 モールディング伯爵とご一緒にぜひお越しを。

 貴女とお会いできる事を心待ちにしています。
 

 アドルフ・デイ・ルイス”