パトリックの自室へ向かった二人の紳士とメリア。
 メリアは二人が丸テーブルを挟み腰を下ろしたのを見てから、すぐティーセットの準備を始める。

「それにしても、メリア。今回は無理な頼み事をしてしまって申し訳無かったね。何も問題無かったかい?」
 パトリックが心配そうにメリアに訊ねた。
 彼の言っているのは、アダム・クラーク男爵への手紙の件だ。

「いえ、とんでもございません。何も問題は無かったと思います・・・」

 メリアはそう言ってからはたと思い出し、慌ててエプロンの下の侍女服から何かの紙を取り出した。

「そう言えば、パトリック様。これを、今朝アダム・クラーク男爵からの手紙の返事を受け取りに来られた方からお預かりしました」
 パトリックはそれをメリアから受け取ると、不思議そうにそれをも見つめる。
 どうやらそれは手紙のようだった。
「僕宛になっているね・・・。なんだろう」
 
 手紙の封を切り、取り出した手紙は数枚に及ぶもの。
 最初はなぜ自分宛てに手紙が寄越されたのかを理解できないパトリックのようだったが、読むうちにその顔がだんだん険しくなっていく。

「何が書いてある?」
 流石にエドマンドも彼の表情のあまりの険しさに、その手紙に書かれていた内容があまり良いものではないと感じ取ったのだろう。じっと目を細めパトリックをの様子を伺う。