「ちゃんと呼ばないと離してやんねぇよ」 ………もう無理だ ……どうにでもなっちゃえ。 あたしは、甘く囁くその顔を見上げて口を開いた。 「……れ、廉」 ギュ 両脇にあった腕があたしの背中に回されると、廉の甘い香りに包まれた。 「やっと呼んでくれた」 「椎菜」 あたしは、そう甘く囁く悪魔に捕われた……。 クン……ドクン……。 心臓が大きく音を立てる。 静かな教室に、オレンジ色の夕日 廉はそっと目を閉じてあたしの唇に自分の唇を重ねた。