「くそっ……!」
女々しい自分に腹が立ち、ギュッと力を込めて握りしめた拳を大きく振り上げ、思い切り壁に打ち付けた。
一一ガツンッ!!
カーテンで光を遮断され、薄暗く静まっている部屋に、痛々しい音が響く。
と同時に、打ち付けた拳に、痛みが走った。その痛さに、思わず顔を歪める。
「……っ、」
だが、それでも苛立ちは収まらないまま。
「はぁ、畜生…!」
いい加減忘れてしまえ、あんな女のことなんか。
いつまでも想っていたって、仕方がないんだ。
もうアイツとは、住む世界が違う。時が経ちすぎてしまった。もう、元には戻れない。

