「それ、やる。もういらないから。」
そう言って、今度こそ夕夏から視線を外してレジへと向かった。
夕夏はもう一度「え…?」と口にしていたが、聞こえないふりをした。
そして、レジを終えた俺は、夕夏に目線を合わせることなく、コンビニを後にする。
「……、」
なんで、ハンカチなんて渡してしまったのだろう。
あのまま無視して帰ればよかったのに。関わらない方がよかったのに。
……嬉しかったからだろうか。
あの時のことはわからないが、少なくとも今、申し訳なかったと思ってくれていたから。きちんと謝罪をしてくれたから。
だから、優しさをみせてしまったのだろうか。

