「あ、いや……」 目を泳がせて、「…ぅ。あ、えっと」などと意味を為さない単語を口にする。 そんな夕夏に、沸々と醜い感情が込み上げてきた。その想いが口に出ないようにと、必死に口を閉ざした。 「はぁ、もういいから。」 うんざりとした態度でそう言い、それ以上の言葉を拒絶した。 すると、さっきまで必死に溢さないようにと堪えていた涙が、ポロポロと夕夏の頬を伝った。 正直、ギョッとした。 だけどそれは顔に出なかった、と思う。