目の前に立っている人物は、俺が長年想いを寄せていた人だった。 今、起こっている出来事が信じられなくて、何度も瞬きを繰り返す。 ずっとずっと、会いたいと心の底から願っていた人。 何故今更、俺の前に現れた? 「あ、えっと。久しぶり……」 ぎこちなくはにかみ、そう言う。そんな夕夏に、腹が立った。 「あぁ。」 素っ気なく返し、夕夏に背を向けた。これ以上話すことなどない。 「……っ、翼!」 夕夏に久しく呼ばれた名前に、思わず足が止まる。