それが何であるかなんて今は聞けないけど。 いいことだとは思えなかった――――― 『じゃあね。残りの春休み、楽しくすごして』 「亜実、早く家入れよ」 『いや、いいから。じゃっ』 無理にでも俺を帰らせようとする亜実。 まあ、もう付き合っているわけじゃないから、帰ることにした。 『………………めんね……』 振り返らずに歩く俺には何も聞こえなかった。