その“刃”をうけとめたのは俺ではなかった。 『馬鹿な真似はよせ。……亜実さんのもとに戻りたいんだろ。死ぬ力があるなら、自分と闘え』 俺を押さえ、手の甲についた傷。 それは、浅いものであったのだけれど。 「ああああああああああああ!!」 おぞましい悪寒が走った。 この感情は、あの時とまったく一緒であった。 血液。 俺はこれが大嫌いになった。 身体中をめぐる血液。 俺自身に向けた刃が亜実にささった時。 ―――――あれからだった。