私は、昨年、ちょっとした軽はずみな発言によって、三増合戦祭りに甲冑を着けて出陣式に参加することになったのだ。
忘れもしない4日前のこと、とある保護者の方に突然声をかけられた。
「先生、約束通り甲冑の準備してあるから。祖父が明日か明後日なら試着に来てもらっていいそうだよ」
とのこと。
それを聞いて、私は焦った。
「あ、あれは、ほんの冗談で・・・」
などという言葉は呑み込んだ。
そう、話は冗談で済まなくなっていたのだ。

こうして、私は、甲冑隊に参加する為の甲冑をフィッティングする為に出掛けたのだった。
そこで、いざ衣装のフィッティング及び着付けに行ったものの、大変な格付けの武将(衣装をまとう)となることが判明。
それも、歴代の校長・教頭が身に付けたという大層立派な甲冑が用意されていたのだ。
そのご老公の話を聞いていると、やはり、その甲冑はとんでもないものだった。
私のような、たかだか2年目のぺーぺーごときが身に纏えるような代物ではない。
兜も『クワガタ』といわれる立派なもので、しかも、武田氏の家紋「四菱」が入っていた。
これは、いよいよ私も血痰を吐いて倒れるかも知れない。
そんなことを危惧していても始まらない。
今は、そのご厚意をただただ光栄に、ただただ真摯に受け止めるしかない。