「でも、なんでお姫様だっこ?」
紗理奈は不思議そうに聞いてきた。
うんうんと、残りの2人も頷いている。
「すみませんっ。放送部のものですが!」
メガネをかけた小さい男が、マイクをもってよってきた。
「2年5組、大野健人君!先ほどは素晴らしい走り、ありがとうございました。しかし、なぜお姫様だっこだったのですか?」
俺は、ちびメガネからマイクをとった。
「決めたから!!最高の思い出つくるって…」
俺は愛美を見つめた。
「おっ?おっ?まさか、ラブな感じですか〜!では2年5組、川島愛美さん!ずばり最高の思い出はつくれましたかっ?」
マイクは愛美に向けられた。
グランドはやけに静まった。
愛美はまだ顔が赤い。
そしてボソッと
「最高すぎるよ、健ちゃん…」
キャー!!
わぁっ!!
グランドは一気に熱をもつ。
愛美の目には、うっすら涙が浮かんでる気がした。

