もしかして…
「亜美に何か言われた?」
愛美はぱっと顔を上げた。
「そんなわけないじゃん!あたしが出たくないだけなの。」
「なんで出たくない?」
俺はじっと愛美を見つめた。
「ま、前にも言ったでしょ…。楽しい思い出に思い出が重なるのが嫌なの。」
「じゃあさ…その楽しかった思い出より、楽しい思い出をつくれば問題ない?」
「そんなの無理だもん。」
すねた愛美に、またきゅんとする。
「いいからっ!きて。」
愛美を立ち上がらせようとした時、
「いたっ。」
愛美は足首を手で抑えていた。
「痛めたの?」
「ごめん…」
「言ったろ?楽しい思い出つくるって。」
俺は愛美を抱きかかえた。
「えっ。健ちゃん!!」
―次の種目は二人三脚です―
アナウンスがきこえた。

