「大吾はないでしょー!」
紗理奈はハチマキを巻きながら言った。
俺はさっきの出来事を紗理奈に相談していた。
「だってあの目はなんか違ったもん。」
「もんじゃない!あたしの目が正しければ、愛美はいつもあんたを見てる。」
「えっ?」
俺はあからさまに喜んだ。
「例えばぁ、あんたが目立ってる時。教卓の前に立って騒いでる時とか、みんなと馬鹿やってる時とか。」
紗理奈は俺の目をじっと見てきた。
「それ喜んでいい?」
「どうだろうね。本当に健に気持ちがあるのか、それとも単に馬鹿だなぁって思ってるのか。それとも…」
「よっしゃぁぁぁぁ!!」
「いや早いよ!」
紗理奈はこの時から気付いていたんだと思う。
愛美が―
俺を通して見ている人を…

