「っ…」



少し顔を歪めただけで、引っこ抜こうともしない。



私は野生動物か…



ハッとして口を離すと、カズの手は血が滲んでいた



『ご、ごめん!!』



「別にいいよ?」



よくないだろ!!



そう思いながら、ひたすら謝る



『傷跡残ったりしないよね?』



「大丈夫だよ、大袈裟だな。それに…」



『?』



それに…の後に何かボソッと呟いた声は、小さすぎて聞こえなかった。



『ちょっと待ってて、ハンカチ濡らしてくる』



そう言ってその場を離れた



後ろで、微かに



「一葉、人ゴミに気をつけるんだぞ」



と言う声と共に機械音が聞こえた気がした。