愛してるんだよ。

詩を見ないまま、仕事を一段落させて家に帰った。



気付けば1ヶ月が過ぎていた。



家に入ると、一葉がいて凄い目をして俺を睨んだ。



憎しみに満ちた瞳には、悲しみも見えた。



一葉は一言も発さずに2階へ上がって行った。



奥の扉が開いて出てきた一花は、少し痩せて見える



でも、声のトーンは変わらずに



『おかえりなさい』



と言った。



「…ただいま」



いつもなら、嬉しい瞬間は、悲しみを思い出す瞬間にしかならない



それが、耐えられなくて一葉が中学3年だった年は、家に帰る事が極端に少なかった…



弱い自分は、逃げる事しか考えてなくて…



大切な人を大切にする事を忘れていたんだ。