皆に見つからないように制服に着替え、皆に見つからないように学校に行く。


作戦は成功だった。


今日はお姉ちゃんにもヒロキにも会いたくなかった。


会ったら事実を認めてしまう気がして嫌だった。


薄暗く肌寒い風が私の髪をなびく。
空は薄いグレーをしている。

私の気持ちと同じだった。


いつも通る道なのに、初めてみるようなレンガの家に、今にも壊れそうな木造建築。


全てが新鮮で、景色が違ってみえた。



いつもよりカラスが多くなき、土手の地面はいつもより固かった。


土手には誰もいない。


いるのは私だけ。



一歩ずつ一歩ずつ無意識でなく意識的に歩く事に慣れない自分は思わず何回もため息がでた。



途中コンビニで買ったもっちりチーズパンとコーヒー牛乳のパックの袋をわざとぐるぐる振り回した。


少しでも何かをしていたかった。