コンビニからちょっと歩いた一軒家が私の家だ。

桜井家は四人家族。

兄弟は五歳上の姉が一人。
父と母はなんの変哲もない優しい親だ。


『ただいまー』


玄関の靴を見ると知らない大きな革の靴が綺麗に並べられている。


『誰か来てるのー?』

奥から出てくるのは決まってお母さんだった。

「おかえりなさい、お姉ちゃんの彼氏がきてるの」

優しそうな笑顔を浮かべたお母さんは、私の買った五人分のアイスが入ったコンビニ袋を手に取り「ありがとう」と言った。

『ただいまー』

リビングに入るといつも私が座る席にお姉ちゃんの彼氏が座っていた。

テーブルには唐揚げにカレーに美味しそうな所謂定番メニューが並んでいる。

「おかえりー」

お姉ちゃんはいつも通り素っ気なくそんな言葉を言い放ち、いつもとちょっと違っていたのは着てる洋服くらいだった。
いつもはジャージなのに、今日はちゃんとした服を着ている。


「お邪魔してます」

お姉ちゃんの彼氏は私に向かってちょこんと頭を下げた。

『彼氏さんの話ならお姉ちゃんからたまに聞いてます』

私は笑顔でそう答えた。
内心は私の席とるなーって思っていたけど、ここは許す事にした。