「あぁ、突然ごめんな。

俺も桜井さんと同じ高校なんだ、まぁ隣の隣のクラスだけど」


見たことのない顔だった。

と言うよりも、私が高校生になって見たことのある人はごくわずかにしか至らなかったのだから、彼も知るはずがないのだ。


『あー、ごめんなさい。
私あんまり同じ高校の人知らなくて…』


私の笑顔はやけに引きつっていた。
というより、早く帰りたい気持ちが大きくてなんだかむずむずした。


「あぁ、大丈夫大丈夫!
引き止めてごめん」

あっさりとした受け答えに私のむずむずは一気に晴れ、手を振ってその場から離れた。

こういう事は何度かあった。


私は知らないのに、向こうが私を知っていて、、、相手を傷つけてしまうパターンだ。

私は周りをキョロキョロして隣のクラスの生徒までも一人ずつ把握するような、今時の女子校生ではなかった。


親友はたったの一人。

クラスの男子はかろうじて知っているくらいで、、、話したりはあまりしなかった。