「っていうかさ、ちょーイケメンの教育実習生くるらしいよ」


美咲の口からその言葉が発された瞬間私は凍りついた。


『えっ、なっ、なんで知ってるの?』

まさか、まさかあいつなわけない。


だいたいあいつはイケメンじゃない。

いや、イケメン?

あれってイケメンだっけ?


あ゛ー、もうわからない。。


「噂、トイレで盗み聞き」

美咲はたびたびそれをする。
トイレの盗み聞き選手権で一位がとれるくらい私達にとって誇れるものだった。


『ふーん、そう』


「えっ、それだけ?

薫はどんだけ男に興味ないのよ!

薫の事好きな男子はいっぱいいっぱいいるのにさー、もったいなさすぎ!」


これは毎日毎日耳に蛸ができるくらい言われるセリフだ。

『うーん』

「っていうか、私の計算的に今から好きな人作らなきゃ夏に間に合わないんだよねー
やっぱりさ、高3の夏くらい彼氏欲しいじゃん?」

高3の夏かぁ…。

今は6月だから…後1ヶ月ちょっとか…。