不意に世界が色に包まれた

見渡す限りのすがすがしい若草色と穏やかな焦げ茶。

どうやら森の中みたいだ。

周りには誰もいない。

さぁ、2人を探しに行こう。

変なとこに飛ばされてないといいけど…

そうだ、確か姿が変わってるんだっけ。

どうなってるのか見てみないと。

自分の顔が分からないなんてかなりマヌケだ。

今のところこれといった違和感はない。身長や体格はたいして変わってないみたい。

でも手を見て思考が固まった。

「ナニコレ?」

ぷにぷにしてる。

ピンク色で独特でおなじみな形。

「肉球!?」

うん、間違いない。

近所の野良猫捕まえてふにふにさせてもらってた夢のクッションが今ここに!

野良猫は触ると引っ掻くけどこれなら好きなだけ触れる!

ワーイ♪

…じゃなくて!

手がこれって事はもしかして?

恐る恐る手、というか肉球を顔に持っていくと、えらくフサフサしてる。

少なくとも人間の顔じゃない。

あの腐れピエロめ。

確かにアイツは「何になるかはお楽しみ」と言った。

でもまさか人外のものにされるとは思わなかった。

二足歩行のネコ。

それが、今の私の姿。

まさかと思って後ろを見ると、ご丁寧な事にシッポまできっちりついていた。

ネコとはいえ人型だからなのか、服はちゃんと着ている。

今すぐ鏡が見たい。

こんなに切実に思ったのは初めてだ。