「もちろん。聞かせて。」

ピエロは髑髏の玉でジャグリングを始めてから、応えた。

「どうしましょ?ボクは会って早々ひっ掻いてくる性悪ネコサンに、大事なヒントを教えてあげるべきデスカ?」

イラッ!

「教えたくないならその話持ち出さないでよ!」

「いやぁ、ボクの中で一人目を見つけた人には一応教える事にしてるものデスから。」

ま、いいデス。と呟いてピエロは笑う。背筋がゾッとするほどにこやかに。

「フウカサンがいい例デスけど、
ファンタジアに来た時期は、仲間内で必ずしも一致するとは限りまセン。
そこを基準にすると、イタい目に合います。注意して下さいネ☆」

確かに。私はこっちに来たその日に、未来の国で異変があると聞いた。

異変の始まりは一月ほど前。

つまりその頃に、フウカは王女と入れ替わったんだ。

仲間でも、同じタイミングでファンタジアに来たとは限らないらしい。

早い話が、ノコギリソウみたいに何百年も前に来た人だって、仲間の可能性はあるって事だ。

容疑者がまた増えた。

イサナはいつ来たのかな?

「それからもう一つだけ。これはルールでもなんでもなくて、ただの事故なんデスけど…」

スミマセン。とにこにこしたまま、これっぽっちもすまなさそうな様子を見せずに、ピエロはアッサリと言い放った。

「イサナサン、多分記憶がなくなってマス。」