「ところで、先ほどのネコ人間はどこへ?姿を見ませんでしたが。」
シアは王女を連れ立って、会議室へ向かっていた。
「えっと…。お話が済んだから地下牢に帰ってもらったの。いいコだから、出してあげてよ。」
「ご冗談を。このような騒ぎを起こした賊ですよ。解放などありえません。」
近頃、王女は本当におかしい。
仕草、表情、動き。全てが違う。
なぜだ?
何が起こったんだ?
「なんで?私が信用できないの?」
困ったように、上目遣いでこちらの目をのぞきこんでくる。
彼女のこんな目は初めて見た。
「まさか。しかし万一の事があってはいけませんので。」
「万一の事なんかないから大丈夫だってば。」
まただ。
王女はこんな根拠のない自信を持たなかった。
いつだって理論的だった。
今の王女も、悪人なわけではない。むしろ以前よりお人好しになった。
しかし、城内に潜り込んだ賊にすら憐れみをかけるようでは困る。
国を背負っていくには、全てを許す聖人よりも、腹に一物抱えた古狸の方がいいのだ。
それに、とシアは思う。
僕は寂しい。
目の前に王女はいる。
しかし、彼女は変わってしまった…
シアは王女を連れ立って、会議室へ向かっていた。
「えっと…。お話が済んだから地下牢に帰ってもらったの。いいコだから、出してあげてよ。」
「ご冗談を。このような騒ぎを起こした賊ですよ。解放などありえません。」
近頃、王女は本当におかしい。
仕草、表情、動き。全てが違う。
なぜだ?
何が起こったんだ?
「なんで?私が信用できないの?」
困ったように、上目遣いでこちらの目をのぞきこんでくる。
彼女のこんな目は初めて見た。
「まさか。しかし万一の事があってはいけませんので。」
「万一の事なんかないから大丈夫だってば。」
まただ。
王女はこんな根拠のない自信を持たなかった。
いつだって理論的だった。
今の王女も、悪人なわけではない。むしろ以前よりお人好しになった。
しかし、城内に潜り込んだ賊にすら憐れみをかけるようでは困る。
国を背負っていくには、全てを許す聖人よりも、腹に一物抱えた古狸の方がいいのだ。
それに、とシアは思う。
僕は寂しい。
目の前に王女はいる。
しかし、彼女は変わってしまった…


