これだったのか。

王女が別人のように変わったって、ホントにまるきり違う人じゃん。

誰か気づけよ。

でも仕方ないか。

全くの別人だっていう証拠は、本人の証言しかないんだから。

「私、何回も脱走してユウとイサを探しに行こうとしたけど、そのたびに捕まっちゃった。この国には巫女が必要なんだってさ。家来の人達は早く元に戻れってうるさいの。王女が帰ってこない限り、私は絶対にこの国から出られない。」

それは困る。

イサナがもういるのなら、この場でさっさと帰っちゃえるけど、あいにくまだ見つかってない。

私だけここから出て、イサナを見つけて連れ帰って来るっていう手もあるけど、それじゃ不安。

フウカをこんなとこにほっぽりだしておけない。

心配なんじゃない。「ご飯がないならお菓子を食べればいいじゃん♪」とか言い出しそうでコワいからだ。

それくらい、フウカの世間知らずは昔から目に余るところがあった。

「わかった。私が王女を探してくる。」

もちろん大急ぎで。

イサナを探すよりはお手軽だろう。姿も名前も分かるし、箱入り姫がそんなに遠くまで行けるとは思えない。

「ホント!?ありがとう!」

王女を見つけ出して連れて帰って来る。

それが、フウカを取り戻す条件。