「これなに?」

と、ゴロゴロと積み重ねてある楽器を指し示す。

太鼓やリコーダー、ハーモニカみたいにスタンダードなものから、フルートやバイオリンなど教科書でしか見たことのないものまで様々。

間違って紛れ込んだわけじゃ無さそう。『楽器』って看板が立ってるから。

「あ?『魔器』の事か?」

「マキ?燃やすの?」

「それじゃねぇ!魔法の楽器、略して魔器だ。」

「魔法!?」

そんなもんまであるのか。ファンタジア恐るべし。

「どう使うの?」

「弾くんだ。」

「…シンプルなご説明、ありがとう。」

「あたしが見せてあげる。見ててね。」

サルビアはスイッと滑空して楽器の山に近づくと、中からカスタネットを取り出した。

カスタネットはサルビアが触れたとたん、彼女に合ったサイズに縮んだ。さすがは魔法の楽器。

タッタタタンタタ

タンタンタンタタ

激しいリズムを奏で、サルビアが情熱的に舞う。

ハイヒールのかかとを鳴らして拍子を取ったかと思えば、今度は空中での華麗なアクロバットを決めてくれる。

次第に、カスタネットの音に呼応するように

サルビアの周りが

燃え始めた。