「マスター!入るわよ!」

サルビアが小さな拳でトントンとそばにあった部屋のドアを叩く。

けれど、ほんのかすかな音しかしない。

すぐ近くでは、男どもがバカ騒ぎをしているし、かき消されて絶対聞こえてないよ。

と思ったけど、即座に返答が来た

「入れ。何事だ?」

すげぇ。何者?

「新入りちゃんが来たの。ギルドに登録してあげてちょうだい。」

さぁ、と促されて部屋に入ると、そこは落ち着いた雰囲気の和室だった。

部屋の中央では、男の人が座布団の上であぐらをかいている。

うわ、イケメンじゃん。

ちょっと色黒、大きめのツリ目、きちんと手入れされていそうな短めのサラサラヘアー。

着ている和服の隙間からのぞく体は筋肉質で、ドキッとした。

でも、耳が不自然に尖っている。この人も、普通の人間じゃないみたい。

「貴様、なぜここへ来た?」