あれだ、と示された先には大きな木がある。

世界遺産にできそうなくらい大きい。

もちろん紙だ。葉っぱの一枚一枚、木の皮の捲れたひび割れまで丹念に折られている。

風が吹き抜ければ涼しい音を奏で、幹と皮の隙間では小さな虫が生活している。

忙しく葉っぱを食べるイモムシがいたかと思うと、そのイモムシは鳥が捕まえて持って行ってしまう。

鳥の行く先を見上げると、鳥の巣が作られていて、その中ではかわいらしい雛鳥が賑やかにご飯をねだっていた。

ちょっと大きくて紙製なだけで、普通の木となんら変わらない。

その幹の中央には扉。

これの中に人がいるんだろうか?

リスみたいでなんかいいかも♪

「ただいま~。新入りつれてきたぞ~。」

アケビが勢い良く扉開ける。

するとそこには、カオスが広がっていた。