僕は…笑えない――――


驚く事も、困る事もできるのに…笑う事だけできない…



だって…僕は昔に…過去に…


―――――大切なものを失ってしまったから…


僕は…笑えない…笑う事を忘れたしまったから…



あの日から――――――――――――――――――――――――――――――――――






「可奈っ!!可奈っ!!」


僕は何度も繰り返す…愛しい愛しい彼女の名前を――――――――



病院。ただ見て泣き叫ぶだけの僕。必死に治療する医者。




彼女は体がもともと弱くて…よく入退院を繰り返していた…

そんな彼女を守りたくて…ぼくは医者になろうと決めた。





――――――――――それももう過去の話。もう彼女「ココ」にはいない…


僕のせいで…僕の無理な願いのせいで彼女の容体は急変した…



僕は泣き叫ぶ…タダタダナキサケブ……泣き叫ぶ…



愛しかった彼女の名前を―――――――――――――





―――――――数年後。ぼくは医者になっていた

もう彼女はいないのに…治してあげられないのに…


それは…まるで…罪滅ぼしのように…






「笑わない医者」として…