愛される龍

彼らに呼ばれた工事現場を出て
明るい街を眺めながら
目を細めた


やむ暇もないほど
雪は少女を包み込む


「さっむいな」

はぁと手に息を吹きかけても
すぐにぬくもりは失われる


通りすがりの人から向けられる
視線すら少女には
ひたすら冷たかった


「あれ龍華の総長でしょ?」


「目向けちゃダメよ」



それでも少女は
歩みをやめない




待ってる人がいる



ただそれだけで十分