「じゃあ何してんの?」


顔は見えない。

でもその声に感情がこもっていないのは

振り返らなくても分かった。


「観察です。」

「へえ… 暇なんだねぇ。」

相手からの嫌味のこもった返事。


私の単調な返答がつまらないのだろう。




「お兄さんこそ、私なんかに声かけて

 暇なんじゃないですか?」


後ろでハーッと息を吐く音がした。

そのあいだも車はどんどん下を通り過ぎていく。

いろんな車 ライトの種類、形状…


みんな夜の街に消えていく。