携帯を奪われた今、 連絡する手段がない。 もしここで家に帰って、 警察に事情を説明したとしても どうにもならない。 この青年が私の携帯をその辺に 捨てていれば、どうしようもない。 この人に罪がとわれることや、 この人の身元を知ることは、出来ない。 「そんなに大事な携帯なの?」 ニヤニヤしながら、ふたたびポケットから 携帯をとりだした。