真っ暗な空に大きな花が咲いて、僅かな間の後にドーンと響く。その後にあちらこちらで歓声が上がった。
修一と綾香は川原に座って打ち上げられる花火を見ていた。周りにもたくさんの人がいたが、そんなに窮屈ではない。
「わあ。すごいねえ」と綾香は何度も言って、はしゃぎっぱなしだ。
それに対して修一はどこかうわの空だった。やはり、それは綾香を迷子にしてしまったことが原因だった。
綾香は修一とはぐれてからどうしていたのだろうと想像してみた。さっき聞いた話だと、修一のことを探して、いろんな人に訊いて回っていたみたいだ。
しっかりしていると言っても、綾香だって不安がなかったわけではないはずだ。だけど、それでも泣かずに、知らない人に話しかけて、修一のことを探し回っていたのだろう。そのことを考えると、自分が情けなくなってしまった。
もし、修一はもっとしっかりしていたら、綾香は泣いていたはずだ。修一はもっと不安だろう、もっとつらいだろう、そんなことを考えてしまい、泣くことさえさせてあげられなかったのだ。
もう一度、空に大きな花火が上がった。破裂音が胸の奥の方で響いた。
ラムネのおじさんが言ったみたいに、もっと強くならなきゃ、と修一は思った。せめて、綾香を無理させないですむようにはなりたい。
打ち上げられた花火を見ながら、修一は綿あめがついていた割り箸をなめた。木の味の中に僅かに砂糖の甘さを感じた。
修一と綾香は川原に座って打ち上げられる花火を見ていた。周りにもたくさんの人がいたが、そんなに窮屈ではない。
「わあ。すごいねえ」と綾香は何度も言って、はしゃぎっぱなしだ。
それに対して修一はどこかうわの空だった。やはり、それは綾香を迷子にしてしまったことが原因だった。
綾香は修一とはぐれてからどうしていたのだろうと想像してみた。さっき聞いた話だと、修一のことを探して、いろんな人に訊いて回っていたみたいだ。
しっかりしていると言っても、綾香だって不安がなかったわけではないはずだ。だけど、それでも泣かずに、知らない人に話しかけて、修一のことを探し回っていたのだろう。そのことを考えると、自分が情けなくなってしまった。
もし、修一はもっとしっかりしていたら、綾香は泣いていたはずだ。修一はもっと不安だろう、もっとつらいだろう、そんなことを考えてしまい、泣くことさえさせてあげられなかったのだ。
もう一度、空に大きな花火が上がった。破裂音が胸の奥の方で響いた。
ラムネのおじさんが言ったみたいに、もっと強くならなきゃ、と修一は思った。せめて、綾香を無理させないですむようにはなりたい。
打ち上げられた花火を見ながら、修一は綿あめがついていた割り箸をなめた。木の味の中に僅かに砂糖の甘さを感じた。
