LOVE STORIES

 ラムネのおじさんに教えてもらったとおり、りんご飴はラムネ屋から少し離れたところで売っていた。

 ニョキニョキとそこから生えたみたいにりんご飴は並べられており、修一はりんご飴畑だなと思った。

 右側の畑にはソフトボールぐらいの大きさのものがあり、左側には小ぶりな野球ボールぐらいの大きさのものが並べられている。

 照明の明かりを反射して、赤くキラキラ輝くりんご飴は食べ物というよりは宝石のように見えた。

 大きい方が四百円、小さい方が二百円で売られている。

 綾香は大きい方が欲しいみたいだが、予想以上の値段に困っていたみたいだった。

「お嬢ちゃん、どうするんだい?」

 りんご飴のおじさんが綾香に訊いた。

 綾香は、うーんと唸るばかりだった。

「お嬢ちゃんなら、この小さい方がいいんじゃないか? 大きい方は持つだけでも大変だよ」

「じゃあ、こっちにする」

 綾香は小さい方を指差して言った。

 りんご飴のおじさんは小さい方を一本抜き取り、綾香に渡した。

 綾香は、ありがとう、と言いながら、そのりんご飴を受け取った。

 真っ赤なりんご飴を持った綾香は、ゲームに出てくる魔法使いのようで、とても良く似合っていて、修一はドキドキしていた。