LOVE STORIES

「俺さ、文句言うだけの人間って大嫌いなんだよ。そんなに言うならお前やってみろよって思うんだよな。でもさ、俺たちって先生の悪口ばっか言ってるじゃん。それで俺、気付いたんだよ。じゃあ、俺は悪口言われない教師になれるのかって。多分、無理だろうけど、それでも文句ばっか言ってる奴より、やってみようとしてるだけ俺ってましだろ」

「結局は自己満足だろうね」

「人生なんてそんなもんだろ。いかに自己満足するかだよ。ところでお前は?」

「は?」

「これだけ俺に将来を語らせたんだから、お前も語るのが礼儀だろ」

 すっかりこの男のペースに乗せられていることに気付いた。

 ついつい話し込んでしまっている。

「何もない」

「何もないって?」

「どうでもいいの。あたしの人生なんて。もう疲れた」

「何があったんだよ。未来の教師の俺が相談に乗ってやるぞ」

「会ったばかりの人に自分の大事なこと話すわけないでしょ。じゃあね」

 そう言って麻美は自分の家の方へ足早に歩いた。

 途中に空き缶が落ちているのを見つけて、それを近くのゴミ箱に捨てた。