麻美の横を通り過ぎる小学生の数はあまり多くない。
時間が少し遅いため、学校で遊んでから帰る子供たちしかいないのだ。
その中の、おそらく三、四年生ぐらいの男の子の二人組のうちの一人が手に持っていたティッシュを道の脇の植え込みに投げ捨てた。
麻美としては特に気に留めなかったが、突如、後ろから男が走って現れた。
制服を着ていて、体格からしておそらく高校生なのだろう。
その男が、小学生に、「おい」と声をかけた。
「今、このティッシュ捨てただろ」
「もういらなくなったし」
小学生は悪びれる様子もない。
「もういらなくなったってことはゴミだろ。ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てなさいって先生に教えられなかったのか?」
「それは言われてるよ。でもこれ、ティッシュだよ。土の中に置いとけば自然に還るんだよ」
小学生は得意げに言う。
「そうだよ。還るんだよ」ともう一人の小学生もそれに賛同する。
「あのな」
男は呆れた様子で続ける。
「それはティッシュが自然に還るんじゃなくて、土の中の見えないくらい小さな虫が頑張って自然に還してくれてるんだよ。微生物って言うんだけど、アリとかそんな小ささじゃないぞ。もっともっと小さいんだよ」
時間が少し遅いため、学校で遊んでから帰る子供たちしかいないのだ。
その中の、おそらく三、四年生ぐらいの男の子の二人組のうちの一人が手に持っていたティッシュを道の脇の植え込みに投げ捨てた。
麻美としては特に気に留めなかったが、突如、後ろから男が走って現れた。
制服を着ていて、体格からしておそらく高校生なのだろう。
その男が、小学生に、「おい」と声をかけた。
「今、このティッシュ捨てただろ」
「もういらなくなったし」
小学生は悪びれる様子もない。
「もういらなくなったってことはゴミだろ。ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てなさいって先生に教えられなかったのか?」
「それは言われてるよ。でもこれ、ティッシュだよ。土の中に置いとけば自然に還るんだよ」
小学生は得意げに言う。
「そうだよ。還るんだよ」ともう一人の小学生もそれに賛同する。
「あのな」
男は呆れた様子で続ける。
「それはティッシュが自然に還るんじゃなくて、土の中の見えないくらい小さな虫が頑張って自然に還してくれてるんだよ。微生物って言うんだけど、アリとかそんな小ささじゃないぞ。もっともっと小さいんだよ」
