今日中に思い出さないと、明日には明日香は帰ってしまう。
仕事中もそのことが頭の中を埋め尽くしていて、なかなか集中出来なかった。
昼になると、後輩の高橋と昼食を社内食堂でとることにした。
高橋は達也の一歳下の女の子だった。
「朝から何かぼうっとしちゃってましたけど、出張先で何かあったんですか?」
高橋が不意に訊いてきた。
「いや、仕事のことじゃないんだけど」
「相談に乗りましょうか?」
年下の女の子に相談するようなことではないと思って苦笑したが、せっかく聞いてくれるということなので、言ってみた。
「昨日の帰りに、昔の友達に会ったんだよ。友達って言っても、十五年ぐらい前に親戚の家に遊びに行った一週間ぐらいのことなんだけど」
「男の子ですか? 女の子ですか?」
「女の子」
「じゃあ、恋愛相談ですね」と急に高橋の目が輝く。
「確かに、俺、その子のことが好きだったけど、相談したいのはそのことじゃなくて、別れる前の時に俺、何か約束したらしいんだよ。それが思い出せなくて」
「相手の人に会ったんでしょ。聞けばいいじゃないですか?」
「教えてくれなかったんだよ。思い出したら会ってくれるって」
うーん、と高橋は唸る。
「その人、どんな人ですか?」
「どんな子だろう。はきはきした元気のいい子かな。あと、ちょっと変わってるかも」
「そんなんじゃ、何も分からないですよ」
「そんなこと言われても」
仕事中もそのことが頭の中を埋め尽くしていて、なかなか集中出来なかった。
昼になると、後輩の高橋と昼食を社内食堂でとることにした。
高橋は達也の一歳下の女の子だった。
「朝から何かぼうっとしちゃってましたけど、出張先で何かあったんですか?」
高橋が不意に訊いてきた。
「いや、仕事のことじゃないんだけど」
「相談に乗りましょうか?」
年下の女の子に相談するようなことではないと思って苦笑したが、せっかく聞いてくれるということなので、言ってみた。
「昨日の帰りに、昔の友達に会ったんだよ。友達って言っても、十五年ぐらい前に親戚の家に遊びに行った一週間ぐらいのことなんだけど」
「男の子ですか? 女の子ですか?」
「女の子」
「じゃあ、恋愛相談ですね」と急に高橋の目が輝く。
「確かに、俺、その子のことが好きだったけど、相談したいのはそのことじゃなくて、別れる前の時に俺、何か約束したらしいんだよ。それが思い出せなくて」
「相手の人に会ったんでしょ。聞けばいいじゃないですか?」
「教えてくれなかったんだよ。思い出したら会ってくれるって」
うーん、と高橋は唸る。
「その人、どんな人ですか?」
「どんな子だろう。はきはきした元気のいい子かな。あと、ちょっと変わってるかも」
「そんなんじゃ、何も分からないですよ」
「そんなこと言われても」
