何よりショックだったのは明日香に結婚寸前の彼がいたことだった。
その感情が、達也の初恋の相手が明日香だったことを教えてくれた。
「やっぱり、達也も彼の考え方と一緒なんだ。都会の人ってだいたいそうなんだよね」
何も言わない達也を見て、そう言ったのだろうが、心の中を読まれた気がしてどきりとした。
「そんなことないって」と慌てて弁解する。
そこで新幹線が発車した。すると、車内アナウンスが流れて、この列車の行き先を告げた。
あれっと達也は不思議に思う。
「これって東京行きだけど?」
「だからね、あたし田舎に帰る前に東京に行くことにしたの。一番、冷たい人たちのところに行って、もううんざりって気持ちになってやろうって思ったんだ。そしたら、何の思い残しもなく田舎に帰れるでしょ」
実際に東京の人がそこまで冷たいわけではないのだが、婚約破棄のせいで精神的に参っているのだろう。
「あ、そうだ。達也が帰る前にあたしとした約束憶えてる?」
「それなんだけど、思い出せないんだ。何か約束したことは憶えてるんだけど」
「ほら、早速東京の人の冷たさ、見つけちゃった。やっぱり結婚しなくて良かったよ」と茶化してくる明日香はあの当時のままのあどけなさを残していた。
「もう十五年も前の話だろ」
「あたし、二泊三日で東京にいるから。思い出したら連絡ちょうだい」
「教えてくれないの?」
「当たり前じゃん」
新幹線は二人を乗せて、東京へ向かう。あと三日で思い出せるのだろうか。
その感情が、達也の初恋の相手が明日香だったことを教えてくれた。
「やっぱり、達也も彼の考え方と一緒なんだ。都会の人ってだいたいそうなんだよね」
何も言わない達也を見て、そう言ったのだろうが、心の中を読まれた気がしてどきりとした。
「そんなことないって」と慌てて弁解する。
そこで新幹線が発車した。すると、車内アナウンスが流れて、この列車の行き先を告げた。
あれっと達也は不思議に思う。
「これって東京行きだけど?」
「だからね、あたし田舎に帰る前に東京に行くことにしたの。一番、冷たい人たちのところに行って、もううんざりって気持ちになってやろうって思ったんだ。そしたら、何の思い残しもなく田舎に帰れるでしょ」
実際に東京の人がそこまで冷たいわけではないのだが、婚約破棄のせいで精神的に参っているのだろう。
「あ、そうだ。達也が帰る前にあたしとした約束憶えてる?」
「それなんだけど、思い出せないんだ。何か約束したことは憶えてるんだけど」
「ほら、早速東京の人の冷たさ、見つけちゃった。やっぱり結婚しなくて良かったよ」と茶化してくる明日香はあの当時のままのあどけなさを残していた。
「もう十五年も前の話だろ」
「あたし、二泊三日で東京にいるから。思い出したら連絡ちょうだい」
「教えてくれないの?」
「当たり前じゃん」
新幹線は二人を乗せて、東京へ向かう。あと三日で思い出せるのだろうか。
