十分ほどして、携帯電話が振動した。

――いい加減にしろよ。何人目だと思ってるんだよ。

 真希はすぐに返信した。こんなメールが来ることは予想通りだ。

――あんた、誰のおかげで彼女がいると思っているの?

 今度は五分程の時間が空いてから返事が返ってきた。おそらく一番痛いところを突かれて答えに窮したのだろう。

――分かったよ。でももううちの学校の奴は無理だから少し時間がかかるからな。

 真希は今までに、西村の学校の生徒とは三人付き合っている。言われなくても、これ以上同じ学校の男と付き合うつもりはない。

――十日以内ね。

――頑張ってみるよ。ってか、お前もいろんな奴に手を出すんじゃなくて、一人に絞れよ。

――ちゃんとした男紹介してくれたらね。

――俺たち見習え。

 うっとうしくなったのでここで返すのをやめた。


 本音を言えば、西村たちが羨ましかった。

 しかし今の真希にとっては自分のプライドの方が大事である。

 そしてそのプライドはある種のアクセサリーのようなもので、男はピアスと大して変わらない。

 高校生になってピアス穴を開けたのと同じように、恋愛に関しても同じものが生まれていた。

 最新のものを身につけていたいし、いつまでも同じものを付けていると流行に鈍感だと思われる。

 真希の恋愛こそ大人で、西村たちの恋愛は所詮子供の恋愛だと自分に言い聞かせた。

 でも、周りがかっこ悪いと思っても、そんなことを気にしないで自己満足だけで貫ける恋愛を心のどこかで求めていることも真希は気付いていた。