間もなく潤一と美帆が一緒に戻ってきた。

「何で一緒なの?」

 裕子が訊いた。

「ちょうど電話終わった時に潤一君が戻ってきたの」

 ふうん、と裕子が相槌を打った。この時すでに裕子も拓也も気付いている。

「じゃあ、二軒目行くか」

 潤一は席にも着かず立ったまま言った。

「賛成」

 美帆は間延びした声で潤一の提案に乗る。

「カラオケでも行くか」

 そう言いながら潤一は伝票の金額を見た。

「えっと、女の子は千五百円で。俺たちは二千五百円ずつだ」

「さすが工学部。計算早いね。ごちそうさま」

 裕子が言った。こうやって一言褒められるだけで、多めに出す男は気分良くお金を払える。