LOVE STORIES


 またしばらく沈黙が続いた。それでも二人は帰ってくる気配はない。

 この沈黙に耐えれないのはやはり拓也の方だ。

「そう言えば、俺って何でふられたの?」

「あんた、自分で理由分かってないの?」

「他に好きなやつが出来たとか?」

「はあ? 何言ってるの?」

「いや、他に理由が分かんないし」

 裕子はまた大きくため息をついた。

「あんたが悪いんでしょ。全然気付いてないの?」

「俺がふられた方なんだけど」

「あたしだって別れたくて別れたわけじゃないわよ」

 記憶を必死にたどってみるが、全く思い当たる節がない。

「全く分からないんだけど」

「自分で考えなさい」

 裕子には教えてくれそうな様子は全くなかった。