LOVE STORIES

「俺たちも大学に入ってからだもんな。じゃあ次は俺たちが自己紹介するか」

 潤一はビールを一口飲んでから話し始めた。

「俺、潤一。こいつとは同じ大学だけど学部が違うんだ。こいつは文学部で俺は工学部」

「工学部ってめっちゃ忙しいんじゃないの?」

 美帆が訊いた。

「死ぬほど忙しいよ。毎日実験だレポートだって。ほとんど遊ぶ時間ないもん。今日はようやくその合間を見つけて呑みに来たんだ」

 嘘吐くなよ、と拓也は心の中で毒づく。

 お前、毎日呑み歩いてるだろ。俺に比べたら少しは忙しいだろうが、本当に忙しいやつに比べたら大したことないだろ。

「大変なんだねえ」

 裕子が心配するような声で言った。

 拓也は少し嫉妬してしまった。口元までさっきの言葉が出ているが、ここは友人の顔を立てるために必死にこらえた。

「本当に大変なんだよ。じゃあ、最後はお前の番」

 潤一はこの自己紹介リレーのバトンを拓也に渡した。